
何でイイ歳こいてまで、土曜に仕事なんだ、と憤慨していたが、それはそれで今日は良い日だった。
朝もやに煙る、ひとけの無いビジネス街やそのスキマを視られたことは幸福。
また、午前中で案件が片付いたので、せせこましく矮小化したクソみたいな場を去り、外に飛び出した。
今日の小旅は、都心より始まった。
八丁堀、宝町、京橋、大手町、東京駅、皇居、竹橋、錦町、司町、美土代町、内神田、須田町、秋葉原、御徒町・・・・。
うろうろとシャッターを切りつつ、ひたすら歩き進んだ末、今日の終着地は上野。
今日歩いて「ははーん」と分かったこと。
”あるかどうか分からない””私が視えない””未来の”オリンピック開催地が「東京」と決まって、好きだった場所が軒並み消えている。
この機に乗じて、浄化一掃しようというもくろみが、肌身で分かった。
これだけ一気呵成に叩き潰して、穴ぼこだらけの東京を見るのも久しぶり。
もはや「オリンピック反対」という私の想いなぞは、吹けば飛ぶようなチンケなもので、キチガイになって「へへへ」と薄気味悪く笑うしかない。
耐震対応だの、ガイジンが来ても安全な街だの(むしろガイジンが来るからキケンなのに)、ああだのこうだの小手先のテキトーな理由を付けては、歴史と暮らしを潰していく。表面だけ残して、中身を骨抜きにしていく。
しかし、これだけ大々的に潰して、果たしてその跡地にちゃんと建物が立つのか?
建てる器も無いという中、それでも強行するには、適当な突貫工事と作る者を疲弊させる地獄絵図が浮かぶ。
今日、上野をうろついて、シャッターを切りまくった。
少し前ならば、いさかいに巻き込まれることを覚悟せねばならなかったが、その空気が上野、アメ横、にすら無かった。まだまだ猥雑な雰囲気は残っていても。

東京全体がのっぺりとつまらない機械と化す日は近い。
しかし、オリンピックは、開催するにふさわしくない状況になった場合は、開催地を変更する。果たしてこの地で開かれるか否かは、私が知る由もない。
そのへんの民衆たちの意識を洗脳しつつ、東京骨抜き破壊計画実行は、新しい段階に入った。
■タキシードムーン 「イーストージンクスーミュージック・ナンバー1」1981■
